約40年ぶりの労働基準法改正!?
なぜ今、改正が必要なのか?
労働基準法の大幅な見直しは、約40年ぶりとなります。
現行の労働基準法は、企業でフルタイム勤務をする従来型の働き方を前提に設計されていますが、働き方が多様化する現代に、十分対応できていない点が課題となっていました。
今回の法改正は、テレワークや副業・兼業の普及、デジタル技術の進展など、働き方が多様化する中で、法律を現状に合わせることが目的とされています。
単なるルールの追加ではなく、働き方そのものを制度で支える枠組みへの再構築と位置付けられています。
施行時期はいつ?
首相の規制緩和指示踏まえ、通常国会提出が見送りとなった今、施行時期については、現在未定となっています。
しかし現時点(2025年12月時点)での情報では、今回の法改正に、“例外業種”として一時的に規制を緩くする例外措置はないとされており、そうなった場合、建設業界ももちろん対象となります。
むしろ、工期や天候に左右されがちな建設業界では、シフト設計や工期調整、人員配置見直しなど、実務的な対策がとくに重要となることから、どのような影響があるのか、早めに確認しておくことをおすすめします。
労働基準法 7つの主要改正項目
労働者の健康確保と多様化する働き方への対応を軸に、以下7つの主要項目が検討されています。
- 連続勤務の上限規制
- 勤務間インターバル制度の義務化
- 法定休日の事前特定義務
- 有給休暇の賃金算定における通常賃金方式の原則化
- つながらない権利に関するガイドライン策定
- 副業・兼業者の割増賃金算定における労働時間通算ルールの見直し
- 法定労働時間週44時間の特例措置の廃止
これまでとは大きく異なる点が、数多くあげられています。
それぞれを詳しく紹介していきます。
1.連続勤務の上限規制
現行
法定休日として週に1日の休日を設けることが原則だが、4週4休(4週間を通じて4日の休日)運用下では、最長24日間の連続勤務も可能。労働者の心身の健康を、著しく害するリスクが指摘されている。
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改正案
変形休日制の特例を、2週2休(2週間を通じて2日の休日)に見直し。
14日以上連続勤務を禁止し、最大13日間までに制限される方向で検討されています。
2.勤務間インターバル制度の義務化
勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する仕組みのことです。
過重労働の防止や、労働者の生活・睡眠時間を確保するために重要とされています。
現行
努力義務にとどまっている。
↓
改正案
最低11時間のインターバルを確保する義務へ、強化される方向で検討されています。
例えば、深夜まで残業が発生した場合、翌日の始業時刻を繰り下げるなどの対応が必要となります。
3.法定休日の事前特定義務
現行
どの日が法定休日で、どの日が法定外休日なのか、区別が曖昧。
就業規則などで特定する義務はなく、割増賃金の計算でトラブルが生じる可能性も。
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改正案
就業規則などで、法定休日を事前に定める義務が課される方向で検討されています。
4.有給休暇の賃金算定における通常賃金方式の原則化
現行
平均賃金・標準報酬日額・通常賃金方式の複数方式で、賃金の計算が行われている。
しかし、平均賃金方式で計算した場合、通常賃金方式に比べて支払われる金額が低くなる、といったケースがあることから、有給休暇の取得をためらってしまう要因になっている。
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改正案
通常賃金方式(所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金)に、統一される方向で検討されています。
これによって、有給休暇の取得を促進します。
5.つながらない権利に関するガイドライン策定
勤務時間外や休日に、業務連絡に対応しなくてもよい権利「つながらない権利」は、すでにフランスなどの海外では、法制化が進んでいます。
デジタル化やテレワークの普及などにより、いつでも・どこでも仕事ができてしまう環境において、ワークライフバランスを実現するためにも、重要な概念です。
現行
具体的な施策は講じられていない。
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改正案
勤務時間外の業務連絡を拒否できる「つながらない権利」が、確立される方向で検討されています。
これは、連絡をすべて禁止するものではなく、社内のルール策定を推奨するものと考えられています。
例えば、緊急時以外の連絡は控えるようにする、人事評価で不利益な扱いをしないなどの対応が必要になります。
6.副業・兼業者の割増賃金算定における労働時間通算ルールの見直し
現行
複数の企業で働く場合、それらの労働時間を合算して割増賃金の計算を行う「通算管理方式」。
企業側が、他社での労働時間を正確に把握することは極めて困難であることから、副業禁止や人材の受け入れをためらわせる要因になっている。
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改正案
労働時間を通算しない、企業ごとに独立して管理できる「分離方式」へ、見直される方向で検討されています。
各企業は、自社での労働時間だけを管理すればよくなるため、副業・兼業人材の活用が促進されます。
7.法定労働時間週44時間の特例措置の廃止
現行
法定労働時間を原則「1日8時間・週40時間」と定めていますが、商業・サービス業などの一部業種で、週44時間の法定労働時間特例措置が設けられている。
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改正案
特例措置を廃止し、すべての事業場で週40時間が原則になる方向で検討されています。
週40時間を超える部分はすべて時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要となります。
建設業への影響・対応について
建設業への影響は?
工期や納期に追われ、長時間労働が常態化しやすい建設業界。
今回の内容で改正案が成立すれば、従来の働き方をさらに変えていく必要がありそうです。
例えば、「連続勤務の上限規制」。
建設現場では、繁忙期(竣工間近や天候対応など)に連勤が常態化しているため、シフト・工程管理に大きな影響があるでしょう。
「勤務間インターバル制度の義務化」では、終業から始業まで、11時間以上の休息を必ず確保しなければならなくなります。
これによって、夜勤から翌朝勤務のシフト対策や、遠隔地現場の際は移動時間の考慮が求められます。
建設現場では、夜間や休日の緊急対応が多いため、「つながらない権利」の導入に向けた、緊急性の定義や対応範囲を規定し直す必要があります。
また、体制変更や社内ルールの整備も必要となるでしょう。
必要となる今後の対応
シフトや就業規則、勤怠・給与システムなど‥‥広範囲で影響を受けることが見込まれますが、早期のタイミングから“段階的に”対応していくことが重要です。
そこで、まずは「建設DX」を加速させていくことをおすすめします!
建設業界におけるDXとは、建設業務やその管理などで発生する業務にデジタル技術を導入し、フローや組織、働き方などの革新を目指す取り組みのことを指します。
法改正に伴い、従来の働き方を変えていくためにも、生産性の向上や働き方改革を、DX化を通じて促進させていくことが求められています。
ポイントは「DX化の進め方」
DX化は進め方がポイントです。
次のようなステップがあります。
①現場課題の可視化
長時間労働・連勤条件・有給管理など、今回の法改正でボトルネックとなる部分を把握
②ツール選定
目的・運用体制・費用などを踏まえ、適切なツールを選択
③現場への定着
実際にツールを使う立場と、現場を管理する立場の定着率を高める
これらのステップを踏まえることで、労働時間上限の遵守、勤務間インターバルの確保、休日管理、有給賃金計算の適正化などの法改正対応が、DX化によって大幅に効率化されます。
代表的なDXツール(技術を含む)です。
| ツール・技術 | 効果・用途 |
|---|---|
| 施工管理アプリ | 写真・日報・図面の電子管理で報告業務の自動化。情報共有の円滑化。 |
| クラウド勤怠管理システム | 実働時間集計や残業アラート、有給自動付与により、法対応が容易に。 |
| BIM・CIM・ドローン | テンプレート化や自動化により、工程の正常運転化・安全改善。 |
| IoT安全センサー・AIカメラ | ヘルメット着用や熱中症、立入禁止エリアなど安全監視を自動化し、事故防止。 |
このようなDXツールを導入することで、法改正に準ずる作業の効率化・安全性の向上・働きやすさの向上が、実現可能となります。
現場が求める・現場に定着する建設DXツールを選び、建設DXを加速させていくことがポイントです!

まとめ
約40年ぶりとなる労働基準法の大幅な見直しで、各企業に大きな影響をもたらすことが想定されます。
しかし、「働く人の健康を確保すること」と「多様な働き方を尊重すること」の両立が求められる今、生産性を向上させながら、働きやすい環境づくりを進める良い機会になることでしょう。
上記でも述べた通り、例外措置などがないとされていることから、この内容で成立した場合、建設業界においてもさまざまな影響が見込まれます。
そのためにも、早期の情報収集・対応が重要になってきます。
法改正がされるポイントを踏まえながら、まずは建設DXを加速させていき、着実に実務対応を検討していくことをおすすめします!
本記事は、YSLソリューションで調べた内容をもとに作成した、記事執筆時点での情報です。
参考情報であり、正確性や完全性を保証するものではありません。
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