深刻な時間不足
建設業界の2024年問題
2024年4月から、建設業界に対しても労働基準法改正による、時間外労働の上限規制が適用され、これに伴う業界全体の深刻な課題が、いわゆる「2024年問題」です。
働き方改革が進む一方で、就業者の高齢化と若手離れによる慢性的な人手不足の中、決められた時間内に業務を終わらせなければならないという制約は、人材が急増する見込みがない以上、限られた人・時間で従来以上の成果を出す「生産性の向上」が至上命題となっています。
労働基準法改正の動きが本格化
2024年問題への対応に業界全体が追われる中、厚労省は2025年1月に、「労働基準関係法制研究会」報告書を公表。
ここでも労働時間法制(労働時間・休日・休息の再設計など)の見直し方向が示され、約40年ぶりとなる労働基準法改正についての動きが本格化しました。
労働基準法改正については、こちらの関連記事からご覧いただけます。


2026年1月の国会で提出されるとの予想もありましたが、2025年10月、高市早苗首相が「労働時間規制の緩和」の検討を指示した影響もあり、国会への提出が見送られ、議論は継続することになりました。
しかし、法改正そのものが白紙に戻ったわけではありません。
今後、労働時間に対する規制はさらに強化されていくと見込まれていることから、「いつ義務化されてもおかしくない」と捉え、将来の法改正を見据え、根本から見直していくことが推奨されています。
電気設備領域が直面する3つの業務負荷
2024年から建設業界にも適用された時間外労働上限規制に加え、2026年現在は、動きが本格化している労働基準法改正(勤務間インターバル義務化の議論など)を背景に、電気設備領域が直面する業務負荷の深刻さは、増してきている状況かと思います。
時間外労働の削減を実現するためには、まず現状の業務において「何が時間を奪っているのか」を把握する必要があります。
電気設備の現場が直面する「3つの業務負荷」について解説します。
1.膨大な図面管理と他工区の進捗による手戻り
●膨大な図面と変更に伴うバージョン管理
電気設備工事は、建築・空調衛生などすべての工区が仕上がった隙間を縫うように、配線・機器設置を行う”究極の後工程”です。
建築工事の進捗に合わせて、電気設備の配線ルートや機器の設置位置は日々更新されるため、紙の図面だと、「今見ている図面が本当に最新バージョンなのか」わからなくなることが頻発。
さらに、電気施工図はそれぞれの目的や場所によって異なるものが作られることから、取り扱う図面の種類と量が多いという特徴もあります。
最新の図面が発行されるたびに印刷・配布をする作業は、時間を浪費させる要因のひとつと言えます。
このことから、他工区の遅れや突発的な設計変更のしわ寄せは、最も受けやすい立場にあると言えるでしょう。
●アナログ管理による手戻り
上記にも記載した通り、紙の図面だと、”今見ている図面が本当に最新バージョンなのか”わからなくなることがあります。
照明器具の位置が数センチずれていた……
空調ダクトのルート変更が伝わっておらず、ケーブルラックと干渉してしまった……
このように、現場作業員が古い図面のまま施工してしまうという致命的なミスは、配線のやり直しや機器の再設置といった大きな手戻りを招きます。手戻りは、人件費や材料費のコストにも影響しますが、何より”時間”を喪失させます。
2.測定・検査業務の煩雑さ
電気設備工事において、建物の安全性と品質を担保するための測定・検査業務は必要不可欠であり、手を抜くことができない工程です。
照度測定、コンセントチェック、絶縁抵抗測定、接地抵抗測定など、法令や設計図書で定められた基準をクリアしているか、確認しなければなりません。
●現場での手書きメモと事務所での帳票作成


こちらの栗原工業様の事例内で従来の作業方法として紹介されているような、2人1組で1人が測定器の値を読み上げ、もう1人が値を記録する、それを測定箇所分繰り返し行うといった、アナログな手法がとられている現場も未だ多くあります。
さらに、日中の検査が終われば事務所での帳票作成作業が待っています。
手書きで書かれたメモを解読しながらパソコンに向かい、Excelなどの帳票フォーマットに値を入力する、転記作業が行われています。
作業の二度手間だけでなく、手書きで書かれた文字の誤読や入力ミスといったヒューマンエラーの発生によって、エビデンスとして信頼性を損なう大きなリスクも孕んでいます。
帳票作成時に異常値に気付き、再測定が必要になった場合も、現場と事務所を往復するといった移動のロスを生み出してしまいます。
●法改正に伴う時間規制
大規模・測定箇所が膨大な現場においては、帳票作成だけで数日間の残業が発生することも珍しくありません。
しかし、前述した2024年の法改正に伴う時間外労働の上限規制により、「日中はひたすら現場で測定、夜は事務所に戻って帳票作成」という従来の働き方が、法的にも不可能になりつつあります。
3.防火区画貫通処理の記録厳格化
電気設備工事特有の業務負荷が高いものとして、「防火区画貫通処理」の管理・記録があげられます。
防火区画貫通処理とは、
給水管、配電管などや風道が防火区画に用いられる壁や床などを貫通する場合に、貫通したことによって延焼が発生しやすくなるのを防ぐため、国土交通大臣の認定を受けた工法で、適切に処理することが厳格に義務付けられています。
防火区画の壁や床に穴を開ける工事をする際には、防火区画貫通処理がきちんとできているか確認するのが重要です。
●膨大な箇所の写真撮影・ 提出書類の作成
防火区画貫通処理は、最終的に天井や壁の中に隠れてしまうため、施工前~施工後までの各プロセスを確実に写真に収め、証拠として残さなくてはなりません。
大規模な建物になると、この貫通処理は数千箇所にも上ります。
「どこで撮影したのか」を常に図面と照らし合わせながら進めなければならず、もし撮影漏れや記録ミスが発生すれば、天井や壁を塞いだ後からでは取り返しがつかず、最悪の場合は天井や壁を解体してやり直すという甚大なロスを生みます。
さらに、撮影以上に過酷とされているのが、施主や行政機関への提出書類の作成です。
現場で撮影した数千枚の写真の中から、工区・施工状況・撮影場所を紐付け、Excelなどの帳票フォーマットにまとめる必要があります。
終わりの見えないこの作業が、時間を”喪失”させるだけでなく、施工管理者の心身を疲弊させる要因になっています。
現場の負担を減らす「電設DX」
電設DXのポイント
これまでに述べてきた「深刻な時間不足」と「電気設備領域が直面する3つの業務負荷」を解消するための鍵となるのが、 デジタル技術を活用して現場の業務プロセスを根本から変革する、電設DXの推進です。
現場の負担を減らす電設DXのポイントは4つ。
① クラウド化による情報集約・共有
ただ単に紙の図面をPDF化するだけではなく、クラウド上で現場と事務所が常に最新の情報を得られること
→ リアルタイムに、関係者間で情報共有ができることがポイントです。
② 測定器連携でデータの自動取り込み
直接測定器と連携し、測定データを自動で取り込めること
→ 転記などの二度手間となる作業を減らすこと、エビデンスの信頼性を担保することがポイントです。
③ 撮影した写真と図面上の位置の紐付け
「どこで撮影したのか」がわかるように、図面上の位置と紐付けられること
→ 撮影箇所が瞬時に判別でき、帳票作成の負荷を削減できることがポイントです。
④ データや写真の自動取りまとめ・帳票化
取り込んだ測定データや撮影した写真を自動で取りまとめ、帳票として出力することができること
→ 測定や写真撮影は現場で完結させ、事務所では出力のみにすることがポイントです。
これらのポイントを押さえつつ、 毎日の業務で使いやすく・継続的に使い続けられる、現場で定着するアプリの導入をおすすめします!
現場が使いやすい・定着する!電設DXアプリ「CheX(チェクロス)」
電気設備領域が抱える課題の解決に、電設DXアプリ「CheX(チェクロス)」が貢献します!
CheXは現場の求める機能を中心に、カンタン・シンプルに設計されているため、 ”毎日の業務で使いやすい・現場に定着する”を実感いただけます。
電気設備領域の皆さまにおすすめの機能を、以下に紹介します!
※画像はイメージです。
QRコード 最新図面の確認
図面を印刷する際にQRコードを付与し、スマートデバイスから読取り・確認。 紙図面でも、図面のバージョンが最新版であるかを確認することが可能です。
メモを自動で統合・共有
複数人で登録したピンや写真、測定データをその場で自動で統合し共有。 リアルタイムに、関係者間で情報共有することが可能です。
測定業務機能
測定器※とBluetoothで連携することで、測定データを自動で取得・反映。 判定基準をもとにした合否判定、帳票作成を自動で行うことが可能です。
電気設備検査向け測定業務機能
・照度測定
・照度(非)測定
・コンセントチェック
・絶縁抵抗測定(幹線・動力盤・分電盤用)
・接地抵抗測定
・区画貫通処理記録
測定業務機能 区画貫通処理記録
写真の撮影方向をはじめとする、検査に役立つ便利機能を搭載。 写真撮影忘れ表示や、検査箇所に紐付く認定工法のディテール画像の表示が可能です。
ピン機能
図面上にピンを登録し、ピン内に撮影した写真を登録。
撮影した写真と図面上の位置を、自動的に紐付けることが可能です。
事務所に戻ってからは、帳票出力のみで完結。
これらの機能の他にも、汎用的にお使いいただける機能が充実しています。
機能のラインナップについては、こちらの資料からご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください!


まとめ
建設業界の2024年問題による時間外労働の厳格な上限規制、そして現在動きが本格化している労働時間法制の見直し。
これらを踏まえると、電気設備領域における働き方改革はすでに”待ったなし”のフェーズにあると言えるでしょう。
これからの時代を生き抜き、持続的な成長を遂げるためには、デジタルツールを駆使して現場の生産性を高める「電設DX」へのシフトが重要な鍵になってきます。
図面のバージョン管理と手戻りの防止、ヒューマンエラーを防ぎながらの測定・検査業務の効率化、そして記録が厳格化する防火区画貫通処理における膨大な写真管理……といった、電気設備領域が抱える課題の解決には、電設DXアプリ「CheX」がおすすめです!
”毎日の業務で使いやすい・現場に定着する”CheXを活用し、電設DXを促進していきませんか?
より詳しい情報をお求めの方は、以下よりぜひ資料をダウンロードしてご確認ください。


本記事は、YSLソリューションで調べた内容をもとに作成した、記事執筆時点での情報です。
参考情報であり、正確性や完全性を保証するものではありません。
当該情報の利用により生じたいかなる結果についても、当方は責任を負いかねます。
